☆今回は『建物の内部解体』というテーマで、このフォトログで記事にして取り上げてみたいと思います。 状況をごく簡単に説明させていただきますと、この5月の連休からスタートした「古い平家のリノベーション案件」で、屋根の葺き替え工事が済み、次の『建物の内部解体』が終わった行程でのお話です。
この物件自体が最新現行の建築基準法の適応でいうと「既存不適格建築物」の種類に入る建物で、前所有者のお父様が日曜大工的にご自身で造作してコンクリートブロックを積んで納戸(物入れ)を作ったり、花壇を作ったり、さらに屋根裏の物置を器用に作られていた事実があります。
その頃は軽自動車も入れない、人がようやく通れるような昔ながらの路地だったので、そうした事が一般にごく普通に行われ、おおらかな時代であったのですが、今は当然ながらアスファルト舗装もされ、近隣に分譲マンションや賃貸マンションが建ち、普通乗用車が通る道となって来ています。
近隣の方々もそうした事をよくよくご存じでおられるので、新しい建築基準法の適応でいうと「既存不適格建築物」になり、その現状のままを利用するリノベーション案件ですので、今回のこの改修工事は、通常より余計に神経を使って、できるだけ近隣の方々にご迷惑をおかけしないような配慮を心がける必要があります。
また、建築を請負側がそうした心持ち(マインド)で仕事をすると、必ず近隣の皆様方にもその誠実な思いが伝わり、ご理解、ご協力をいただけて円滑に仕事が進むもので、大変ありがたく思っています。
話を元にもどしますが、いわゆる玄人仕事ではない建築部分が多々あり、屋根(新しく吹き替え)と柱を残して床も全部落として解体してみないとどうしても分からないところがあり、ほとんどの場合、予定していた改修工事の予算がオーバしてしまうことになり、追加工事分の費用を建築主(施主)にご負担いただかないといけなくなります。
この場合、詳しい打ち合わせを建築主(施主様)と十分にして、こうした予期せぬ事態にも、追加工事の必要性のご理解を得られるようにしておかないといけません。
また、極端に予算がギリギリのお客様は、最初から建築請負契約をしない方がお互いのためであり、営業としても無理に仕事をとるような事は結局、建築仕事の質を目に見えないところで落とし、建築主(施主様)の希望や意志に反し、お役に立てないばかりでなく、お互いに不満や不審が残り、後味の悪い結果しか生まないからです。
そして『建物の内部解体』が終わった行程で、建築の傷みの激しい箇所(デメリット)と、お宝部分(メリット)を見極め、建築の傷みの激しい箇所はどうしても追加工事で補強せざるを得ないですが、お宝部分(メリット)があれば(無い場合も多い)それを上手に活用し居住空間に何らかの付加価値を産む方向で、建築主(施主様)に逆にデメリット以上のご提案を差し上げるくらいでないとダメだと思います。
上の写真のとおり、今回はお宝部分(メリット)として、立派な『梁』が出てきました。築古年で建築年不詳、恐らく大正~昭和初期の頃の建築かと思われますが、その扱い方によれば実にお洒落なリノベーション空間を演出することが可能となります。
中古マンションのリノベーションではなく、味わいのある「古民家物件」のリノベーションをご希望、お探しのお客様も多々いらっしゃるのですけれど、そうした物件自体が稀少であり、さらに実際には『建物の内部解体』をしてみないとその全容(メリット・デメリット)は明らかにならないのが現実です。
今回の建築主(施主様)は明らかに後者で、お洒落で粋な方なので、この『梁』の出現には、大変よろこんでいただけるものと思います。その『梁』をどう料理するかは、建築家の腕の見せどころですね!